「どんな銘柄を選べばいいのかわからない」
「割安株を見つけるための計算式を知りたい」
「バフェットの銘柄選択の方法を知りたい」
この記事はそんな方々に向けて書かれています。
みなさんこんにちは、東京総合研究所スタッフです。
今回はウォーレンバフェット御用達の「DCF法」について説明していきたいと思います。
「DCF法」はファイナンス分野で多用されており、M&Aの際などに登場する計算方法なのであまりなじみがないかもしれません。
ですが、世界一の投資家バフェットも使用しているDCF法を身につければほかの投資家に差をつけられること間違いありません!
「DCF法とはなにか」から計算方法、計算例までわかりやすく解説していきます。
- DCF法とは?
- DCF法によって企業の現在価値を算出しよう
- 5年先までキャッシュフローを見積もってDCF法で現在価値を算出しよう
- バフェットの「安全域」を意識しよう
- DCF法を何度も使ってほかの投資家に勝とう
DCF法とは?
DCF(Discounted Cash Flow)法とは、企業価値評価法の一つです。
DCF法は不動産投資やM&Aの際によく使われますが、株式投資にも活用できます。
PERなどを使うマルチプル法に並ぶ代表的な手法です。
DCF法を学べば一流な投資手法で銘柄を選択できます。
仕組みとしては、将来のキャッシュフロー見通しを立て、それをリスク調整後割引率で割り引くことで現在価値を算出できます。
分かりやすく言うと、将来入ってくる現金を予想して、それを「割引率」という数値で計算するということです。
割引率とは?
では割引率とは何でしょうか?
まず、お金の現在の価値と将来の価値は違うということを理解する必要があります。
①今すぐ100万円もらえる
②1年後に100万円もらえる
③10年後に150万円もらえる
これらの選択肢があるとします。
①と②を比較したとき、①を選ぶのは明白ですよね。
今すぐでも1年後でももらえる金額が同じならいますぐもらった方がいいに決まってます。
100万円を銀行預金でもなんでも運用すれば1年で100万円より大きな金額を得られるからです。
では、①と③はどうでしょうか。
今すぐだと確実に100万円がもらえるのに対して、10年待つと確実性はなくなりますが150万円もらえます。
難しい選択ですね。
そこで、割引率が登場します。
割引率・・・1年ごとにどれくらいの割合で価値が下がっていくか
ファイナンスのルールとして、
- 時間が経てば経つほど価値が下がる
- 確実性が低いほど価値が下がる
というものがあります。
そのため、これら2つの要素によって割引率が決定されるわけです。
N年後に得られる現金の現在価値を算出するためには、その現金を(1+割引率)のN乗
で割ればいいのです。
割引率を使って実際に計算してみよう
割引率を5%として、先ほどの①~③の現在価値を算出してみましょう。
①今すぐ100万円もらえる
今すぐ100万円もらえるのですから、これは現在価値は100万円のままです。
→現在の100万円
②1年後に100万円もらえる
1年後に100万円もらえるということは、100万円を1+割引率である5%で割ればいいことになります。
つまり、1年後の100万円はDCF法により現在の約95万円の価値だということです。
→現在の95万円
③10年後に150万円もらえる
10年後に150万円もらえるということは、150万円を(1+割引率)の10乗で割ればいいということになります。
つまり、10年後の150万円はDCF法により現在の約92万円の価値だということです。
→現在の92万円
以上の結果から、①が最良の選択であることが分かります。
DCF法ではこのように割引率を使って現在価値を算出します。
DCF法によって企業の現在価値を算出しよう
ではDCF法でどのように企業の現在価値を算出すればよいのでしょうか。
基本的には、さきほどと同じように将来に受け取る現金を割引率で割れば現在価値を算出できます。
式に表すと以下のようになります。
PV(Present Value)=現在価値
C=キャッシュフロー
g=成長率
r=割引率
これがもし、永久的に成長する前提で考えると、
となります。
PVを求めるためには、キャッシュフロー、成長率、割引率を知らなければなりません。
それぞれどれくらいが目安でどのように決めればいいのかを見ていきましょう。
C=キャッシュフロー
まずキャッシュフローについて見ていきましょう。
ここでいうキャッシュフローとは、FCF=フリーキャッシュフローを指します。
フリーキャッシュフローとは、簡単に言うと企業が自由に使えるお金のことです。
企業は利益を稼いでも、設備投資などにお金を使うので利益をすべて自由に使えるわけではありません。
そのため、
「本業で稼いだキャッシュ」ー「設備投資に使うキャッシュ」
がフリーキャッシュフローとなります。
決算書から計算すると、
キャッシュフロー計算書にある
「営業活動によるキャッシュフロー」+「投資活動によるキャッシュフロー」
によって簡易的なフリーキャッシュフローを算出できます。
将来のキャッシュフローを予想しないといけないわけですが、どのように予想するのでしょうか。
それは、過去のキャッシュフローの推移や企業の競争優位性から測ることができます。
競争優位性とはほかの企業に劣らないブランド力等によって生み出され、安定して大きなフリーキャッシュフローを継続的に生み出すことにつながります。
g=成長率
成長率とは、永久に成長し続ける率を表します。
基本的に自分で決めてよい数値なのですが、0~1%に設定するのが一般的です。
成長率を高く設定すればするほど現在価値は大きくなります。
r=割引率
割引率について見ていきましょう。
さきほど、割引率についてファイナンスのルールとして以下のものがあるといいました。
- 時間が経てば経つほど価値が下がる
- 確実性が低いほど価値が下がる
これらのルールを参考に割引率を決めていきます。
ファイナンス的には、「WACC」や「CAPM」、「ベータ」などの難しい指標を使って割引率を計算するのですが、自分の裁量で決めることもできるので自分で決めることを前提に話を進めていきます。
「時間が経てば経つほど価値が下がる」というのは、N年後のキャッシュフローを(1+割引率)のN乗で割るという式からわかると思います。
では、「確実性が低いほど価値が下がる」というのはどういうことでしょうか。
確実性とは、企業の成長段階や、業種によって変わります。
例えば、ベンチャーキャピタルが投資するような案件は、将来が不明瞭な若い企業に投資するわけなので割引率は50%~70%などかなり高くなります。
TOPIXの平均的な期待収益率は6%ほどといわれているので、みなさんが行う株式投資では4~7%程度に割引率を設定するとよいでしょう。
バフェットは、割引率を「長期国債利回り」程度に設定するといわれています。
長期国債は基本的にリスクゼロだと言われており、非常に安全です。
バフェットの場合、倒産リスクがほとんどない優良株に投資することが多いので、低めの割引率にするのでしょう。
しかし、例えば日本の長期国債利回りは現在かなり低くなっていますので、あまり参考にならない指標かもしれません。
現実的なことを考えると、やはり4~7%で設定するのが望ましいでしょう。
5年先までキャッシュフローを見積もってDCF法で現在価値を算出しよう
キャッシュフロー、成長率、割引率を決定すれば現在価値が導けるということは分かったと思います。
企業が永久に存続するという前提で現在価値を算出する式は以下のようになります。
terminal valueの求め方は以下の通りです。
以上のような式でPVは求められます。
「なんか長ったらしい数式で意味わからない!」
と思う方もいるでしょう。
1つ1つ見ていけば簡単に理解できます。
まず最初のというのは、「1年後のキャッシュフロー」を(1+割引率)で割っているわけです。
これにより、1年後のキャッシュフローが現在価値に割り引かれます。
は「2年後のキャッシュフロー」を(1+割引率)の2乗で割っています。
そして、1年後のキャッシュフローの現在価値と足し合わします。
それを引き続き行っていき、5年後のキャッシュフローまで現在価値に割り引いて足し合わせます。
そして、「???」って感じのターミナルバリューが出てくるわけですが、これは企業は永続するという前提のもと、6年目から発生するキャッシュフローの合計を表しています。
6年目からのキャッシュフローすべてなので、値はかなり大きくなります。
これも現在価値に割り引いて、1~5年目の現在価値と足し合わせることによってPVが算出されるのです。
このPVに、現金を足し合わせて負債を差し引くことによって、株主が重視すべきである株式価値が算出できます。
もし時価総額が株式価値よりも低ければ割安ということになります。
1株単位で考えると、それぞれを発行済み株式数で割って、株価が1株当たりの価値よりも低ければ割安ということです。
バフェットの「安全域」を意識しよう
バフェットは”Margin of Safety"日本語で言うと「安全域」を非常に重視しています。
安全域とは、価値と値段の乖離によって生じる差のことを指します。
例えば、時価総額が900億円の企業を、DCF法で株式価値が1000億円と算出できた場合、価値に対して値段が10%安いため、「10%の安全域がある」と表現できます。
安全域が十分であると、リスクを小さくかつリターンを大きくすることができます。
安全域が30%以上ある投資案件はかなりよい案件であると考えられるので、そのような銘柄を見つけられると十分なパフォーマンスをあげられるでしょう。
DCF法を何度も使ってほかの投資家に勝とう
DCF法とはなにかから実際の計算方法まで説明してきましたがいかがでしたでしょうか。
計算が複雑で、理解しにくいと思いますが、何度も計算をすることによって少しずつ慣れていきます。
エクセル等で計算できるので、ぜひ何度もトライしてみてください。
DCF法を株式投資に活かせば、ほかの多くの投資家より優位に立てることでしょう。
ではまた。
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